器の漆つぎ*chiho

1979年生まれ、鹿児島市出身。鹿児島市谷山在住。

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Posted by チェスト at

【修繕完了品】マグカップのワレ

2012年06月19日

ブログのアップがまた遅くなりました。

お預かりしていた、あめいろのマグカップのワレの修繕をひとまず完了しました。

<修繕前>

ふちのところが2つの破片に割れていました。

<修繕後>




接着は済んでいましたが、それにどう線を描こうか、試行錯誤していました。

見た目、あまりきれいという仕上げにはなっていませんが、ひとまず使える強度になり、ちょっと不思議な?模様になりました。
しっかり漆が入って、熱いコーヒーもOKだと思われますので、ここで一旦修繕完了とさせてもらいたいと思います。

友人の器なので、また、私の腕があがったら、きれいに線を描かせてもらえたらなと思います。

先週、また新たにお預かりした器もありますので、また作業できる日に、進めたいと思います。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 20:29
Comments(2)【 修繕完了品 】

【一部修繕完了】急須のフタのワレ

2012年06月07日

ブログのアップが遅くなりました・・・。

一部修繕完了したものをご紹介します。

<修繕後>




急須のフタがパカっと割れていたもので、漆で接着のち、金を蒔きました。

<修繕前>
 
同時に他のものもお預かりしているので、そちらが仕上がり次第、一緒にお返しするつもりです。

接着はすぐにできたものの、問題はやっぱり金を蒔く作業でした。

線を描くのがまず難しいのですが、太すぎても不格好、それでも表面がとてもつるつるしているので、あまり弱いとすぐはがれてしまいます。
まだ、完璧に気にいったわけではないですが、私の技術が向上するまで、そうそう長くお預かりするわけにはいかないので、ひとまず完了としました。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 18:16
Comments(2)【 修繕完了品 】

【修繕完了品】白湯呑のカケとホツレ

2012年06月03日

修繕を始めた記事(→)を見ると、もうすぐ2年たつところの、白い湯呑。

器屋さんから修行用に頂いた、破損アリの湯呑だったので、自家用ということで、気長に作業していました。
気長に、というか、実験的に、という側面が大きく・・・。

ひとまず、これは完了、ということにしました。

<修繕前>


<修繕後>

実は2つの修繕箇所があり。

ひとつは、このカケ。
破片があったので、漆で接着して、ホツレたまわりに漆で線を描き、金を蒔き、艶を出しました。


ひとつは、大きなこのホツレ。
少しずつ漆で埋めて、最終的に、面に金を蒔きました。


漆で接着、という段階から、この金で仕上げる、という段階には、大きなステップがあります。

金の下地の段階で、少しでも凹凸があると、そこだけ上に塗る漆が水溜りの様にたまってしまい、乾きが一部遅くなる事で、金粉が沈んでしまい、失敗なのです。
これが、とても難しく。

何度もトライして、結果、よく見ると下地が見えていたり、おおきな面のほうのホツレは、もとの器のrと微妙にあっていなくて、まったく不完全なのですが、とりあえず自家用ということで、今回は完成としました。

経験しかないのですね。

なかなか作業が思うようにできず、これまでの遅れを取り戻すこともできず、また、地道に積み重ねていくしかありません。

お待たせしている方々には、大変もうしわけありません。
私を信頼してくださり、気長にお待ちいただき、感謝の言葉もありません。
今、少しずつ少しずつ、また頑張りつつありますので、いましばらく、お待ちください。

今日も作業をする事ができました。
あと2つ、お預かりした器が仕上がっているので、今日、明日、と、少しずつ記事にしたいと思っています。
  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 17:04
Comments(0)【 修繕完了品 】

再開のお知らせ

2012年03月15日

随分とご無沙汰してしまい、2012年の3月も半ばを迎えました。

冬を越え、春を迎える雨が明日から降るとのこと。



まずは、これまでのご報告をさせてください。

2011年12月、主人が交通事故にあい、しばらく職を離れ、看病と自分の仕事の日々が続いておりました。

精神的にも肉体的にもハードな日々で、なかなか器の作業をする事が出来ず。

せめてその事だけでもご報告ができればよかったのですが、それすら叶わず、あっという間に2012年を迎えました。

その後、主人が職を離れざるを得なくなり。

幸い、主人の体はもう元気になったのですが、離職もなかなかに納得できず、様々なところに相談をしたり、手段をとったりしながら、また私の家事と仕事とそれらにかかりっきりの日々が続きました。

生活の不安定はつらいもので、主人も割り切ってくれて、先日やっと、新しい職に就く事ができました。


そんなこんなの多難な冬を越えて、やっと我が家も日常を迎えられる兆しが見え始めました。


お待たせしています器の作業、今月中に開始したいと思います。

中断しているご報告もできずに、いきなり開始のご報告になってしまい、大変申し訳ございません。


皆さまにとっても、健康が一番。
大切な人々とともに良い春をお迎えになりますように、今、心から祈る気持ちです。


  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 21:04
Comments(5)お知らせ

処暑・大切なお知らせ

2011年08月23日

早いもので、お盆が過ぎ、暦は処暑を迎えました。

暑さが処む(やむ)という処暑どおり、というか、ややフライング気味に、朝晩の涼しい夏でした。
また、1日中一滴も雨が降らない日がない、というのも例年にないこと。
処暑を迎え、秋への準備が始まりますね。


さて、季節の変わり目に、お知らせです。


このブログを開設して以来、たくさんの方々から器をお預かりしてきました。
初めは家の食器棚の器。(まだいまだにときどき自分で修繕材料を供給中)
続いて家族、友人の器。
そして近所のお店の器。
さらに、お会いした事のない方や、遠方の方々が、ブログをご覧頂いて、すばらしいご縁を頂いてお預かりするようになった器。

割れた器を修繕する、という行為だけで、こんなにすばらしい人とのつながりが得られるということに、驚くとともに、胸がふるえ、感謝の気持ちでいっぱいです。


器の修繕の技法も、当初と比べると、とても複雑な事をするようになりました。

単純にすばらしい状態に調整済みの国産漆で接着する、ということだけではなくなりました。

自分で、下地の事や、その配合や研磨の具合や、破片のないホツレた部分を埋めるための素材や、さらに重ねる漆を自分で混合したり、また、すべての素になる生漆を何時間もかけて調整したり、その都度、初めて聞くような材料や道具を尋ね尋ね揃えて、恐る恐る使ってみたり。
さらに表面の仕上げに関しても、漆だけでもとても美しいものですが、金や銀などを蒔絵の技法を使って仕上げようとしています。
当初の頃使っていたただ安全な金銀とは違う、もちろん純粋な金銀で安全なのは変わりませんが、研磨の具合で輝きが違ったり、緻密で精密な平滑な表面を求められるより難易度が高く、でも本職のものを取り入れるようになったり。

この道に、1章から順に読んでこなしていけば身につく、という体系的な教科書の様なものはないのです。
何とか探し出した漆塗りの漆芸の専門書を、言葉の意味が全然分からないまま、全体の構成や構造もつかめず、自分に必要な箇所を探し出すだけで何日も要したり。
陶磁器やガラスの事と、漆自体のこと、広い範囲の中で自分に必要な部分を見極めるために、漆の歴史や地方差やお椀や神社仏閣に使われる漆の技法や外国漆の項目まで熟読したり。

どれも、気持ちよく器を提供してくださる皆様のおかげで、ここまでの事が視野に入り、修行する事ができています。
改めて感謝の気持ちでいっぱいです。

そういった一連の大変な作業が、すべて高確率で成功するならば、もうすでにお返しできている器がたくさんあるのですが、何分修行中で、初めて取り組む技法もあります。
それで最後の最後でうまく仕上がらなかったりして、もう仕上がると思っていた矢先、2~3カ月分、手戻りする器がいくつもあり、お預かりの時にお伝えした納期がなかなか守れず、倍、倍、と時間が過ぎてしまい、ただただ心苦しく思っています。

当初はチューブから漆を出して、作業して終わり、だったものが、より本格的な作業をするようになり、一つ一つの作業をするにあたってとても大がかりになり、スタイルが変わってきました。

現在私は半日ではありますが、外に働きに行っています。
その収入はわずかではありますが、遊びのためでなく、リアルに生活のための収入です。
あとの半日を器に、と思っていますが、先述のように、ひょいと取りかかれないほど作業が大がかりになったり、手戻りのときにもとの器を破損しないように剥離したり、そういう作業が重なって、家事半分、では作業できない状態になっています。
それを理解して見守ってくれている主人にも感謝を伝えながら生活をしたいと思いつつ。

なかなか器をお返しできない現状と、作業を急いで作業時間をたくさん取りたいのに取れない矛盾に、思い悩みながら日々作業をしています。

このままでは、もう半年~1年近くお預かりしている器が一向にお返しできない。
以前より数段本格的な事をやろうとできていて、学んでいて、技法も向上しているのに、苦しい気持ちになる。
やっと、こういった技法があるんだという認識ができてトライはしているが、という状態で、とてもプロとして納期を約束して料金をいただき、今の半日外に出て就いている仕事の収入に置きかえる事は、まだ、できない。
でも、少しずつの積み重ねの修行があってこそ、もっと回転よく確実に器をお返しできるようになる。
やっと見えてきたものがたくさんあって、できるようになったこともたくさんあって。
だから修繕自体は、可能なペースで進めたい。続けたい。
でもそれがとても亀のペースで、申し訳ない。
今、そんな、とても苦しいステップに居ます。

そこで、ここで改めて、器のお預かりに関して、お伝えしたい事があります。

私の現状は、プロとしての専業でなく、成功確率が低く何度もやり直したりしながら、家事・仕事の合間に、長い目で修行している状態です。
なので、お預けいただく器については、送料以外の、修繕代は頂きません。
その代わり、納期をお伝えする事が、できません。
例えば年単位になることもあります。
物によっては、簡単に1カ月ほどでできる場合もあります。

その差は、残念ながら、作業する者にしか分からないです。


そこをご理解いただける方からのみ、器をお預かりして、個人的なスパンとしては、10年ぐらいの長い目で、修繕を学んでいきたいと思います。


すでにお預かりして半年以上たっている器たちの所有者様方には、個別に追々メールをお送りして、現状をご理解頂くよう、お詫びを申し上げたいと思っています。
その時間すらなかなかとれない毎日で、ひとまずブログにて皆様にお知らせしたところです。

そんな今でも、遠方からのお問い合わせや、家族・友人からのお声がかかっています。
まだブログで紹介できていない、新しくお預かりした器もいくつかあります。(自分で割ったものも含む)
これからは、料金なし・納期なし、の前提でもいいですか?という確認の上、お預かりさせていただきたいと思います。
それでもお預けいただけるのでしたら、私が経験を積むために器をお貸しいただけることを、深く深く感謝し、喜んでお預かりさせていただこうと思います。

いつか、バシっと納期をお伝えし、日ごろづかいの器に見合っただけの料金で、毎日その分、たくさんの数の、たくさんの方々の日ごろづかいだけど大切な器、の修繕に明け暮れて、我が家に訪れ巣立っていく器が数えきれないほどになる、そんな日が来ますように。
その器の数だけ、日ごろづかいの器を大切にしたい、そんな方々の笑顔があちこちに広がりますように。
そんな夢と願いを込めつつ、ひとまず、お詫びとともに、お知らせさせていただきます。

いつも本当に、ありがとうございます。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 11:21
Comments(2)お知らせ