今日は、早朝、主人が出勤してからすぐの3時間作業になりました。
昨日主人が研いでくれた包丁は、ネギをサクッ、サクッと切ってくれて、きんと寒い中にも気持ちよい朝ではありましたが、まだ肌寒い昨日今日。
漆のほうも、時間をおいたわりには、「まだよ・・・」という面持ちのものも多く。
そこをせかしても、後で自分が手戻りすることになるので、またムロの中に戻っていただいたものもいくつか。
毎回、私の漆の作業は、「はい!」と、即、漆を取り出すわけではありません。
状態を見分けたり、漆を入れる前の下準備の作業をしたり、前回の部分を削ったり磨いたりする作業があったり、下地をこねこねしたり。
それで今の器の量だったら、だいたい1時間半ぐらいはかかります。
大体そのあたりで、玄米コーヒーなどを飲みつつ、ちょっと休憩。
かがんで集中する作業なので、休憩で体をほぐすのは、結構大事なのです。
そのあと、諸々すべて整いましてから、一気に漆の作業だけに入ります。
さらに、終わってからもムロの整理や、配置や、金蒔きなどは、漆を塗ってから何時間後かの作業になるので、それを置いたまま、家事をしたりします。
今、作業も後片付けも終わり、お昼ごはんを食べたところです。
昨年にお預かりしたものについて、もうあとは漆が安定するまで寝てもらうだけ、というものがいくつもあって、お渡しできるのが、楽しみです。
温度が上がってくれると、それも少し早まるのですが・・・。
今日はとりわけ、花模様のカップのヒビの、金がよく光っています。
また、早めの工程で金蒔きをしてみようという試みで、最近お預かりしたカップに金を蒔く予定です。
金などの蒔絵の技法は、ほんとうにもうひとつ別の世界の技術なので、ほんとうに深いし広いです。
できるだけよく仕上がりますように。
また、ヒントを得られて、安定した仕上げができるように私の技術も向上できますように。
さて、先日、私も器のお買いものをさせてもらいました♪
dormitory428の
CALICO様のところで。
いつも時間を忘れて長居してしまう、素敵なものがたくさんのお店です。
明治時代の薩摩焼だそうです。
薩摩焼、といえば、白と黒。
黒もんは、黒ぢょかに代表されるように、庶民的で、無骨ながらも生活に根差した、薩摩っぽい質実剛健さを感じます。
白もんは、絢爛豪華な絵付けや透かし彫りにみられるように、お殿さまの巨大な花瓶や香炉や、そういうイメージです。
どちらもすばらしいのですが、私はなんとなく、その中庸で私の中にしっくりくるものを見つけることが今まで出来ませんでした。
この明治時代の白薩摩。
絵付けが一切ありません。
ベージュの上品な白薩摩の肌に、たっぷりとガラス質の釉薬がかかっていて、この貫入(かんにゅう・ニュウ~細かいヒビのような模様)の細かさと美しさ。
大きさも、前回の記事、「
伊万里のお手塩」に書いたように、私好みのプチサイズ。
もちろんお値段もべらぼうな値段ではありません。
高台にまで釉薬がかかっているものもかかっていないものもあり、貫入にもひとつひとつ個性があり、コレ!という花形役者というか、完璧くんは、いないのです。
でも、どれもとてもやさしくてほっこりでいとしい。
それでいて、ほんとに生まれの良い、というか、上品。
薩摩焼で初めて出会えた、ぴったりの器です。
結局、お店に長々と居座った挙句、どうしてもこれは5つぞろえで、と、買わせていただきました。
主役をひとり、は選べないよ、みんなそれぞれ個性があるからね。そういういとしさとともに、5名様、うちにやってきました。
床の間にて、大嶺實清さんのひとつで負けないものすごい存在感の茶碗?飯椀?の、黒の横に、5人で仲良く並んでいます。
その飾りすぎずに上品な肌は、さりげなく床の間の主役となっているのでした。
これに入れて飲む、ルイボスティーの深い赤色は、またとてもきれいなのです。
明治時代のこの薩摩焼は、現代の白薩摩と比べると、すごくたっぷりガラス質の透明な釉薬がかかっています。
そして、貫入がこんなに細かくきれいに入る技法は、なんだか復刻しがたいものなのだそう。
勉強不足の私。
ここで器にたずさわる者として、いろいろ調べてみました。
薩摩焼の技法、とくに釉薬について。
そして、また、いろんなことを勉強させていただくこととなりました。
一口に薩摩焼といっても、大きく分けて5つぐらいの流があり、現代までのその継承・絶窯、都城などへの派生。
薩摩焼が、江戸期から世界でもてはやされたことや、近代化による、白薩摩の発展、分化など。
そして、今でも復興を試みている特殊な釉薬の技法による、不思議な表面の数々。
蛇蝎(だかつ)と呼ばれるものや、鮫肌と呼ばれるもの。
白もん、黒もん、だけではないのですね!
日々、器との出会いはおもしろいものです。
漆・金継ぎの文化が、骨董と切っても切り離せないのは感じていましたが、こうやってどんどん古いものとも出会っていくのだなと思うと、また楽しみです。
話は変わりますが、さっき、お昼ご飯の前に、私、ぬか漬けデビュー、してみました。
野田琺瑯のぬか漬け容器
「ぬか漬け美人」をいただいたのです。
ホーローにタッパーの蓋つきで、しっかりしていて、冷蔵庫の野菜室で低温で安定して保管することで、そんなに神経質に朝晩ぬか床の手入れをする必要がないのです。
これなら私にもできそう。
偶然ぬか漬けをいただいて、お昼ご飯に食べているところだったし、とてもおいしい有機無農薬米を作る方から、ぬかをわけていただいたりしたので、思い切って始めてみました。
ぬかは、発酵モノです。
お野菜を食べられるのはもちろんのこと、日本人が味噌や発酵食品で昔から摂ってきたすばらしい栄養、酵素をたくさん摂ることができます。
うちに偶然山椒の実の塩漬けなどがあったので、それらもいれて、これから私の手と家の常在菌が作り出す、オリジナルのぬか床ができるはずです。
まだまだぬか床を起こす段階。
あと1週間もしたら、初めてつける野菜、何にしようか、楽しみです。
私は、昼食は家で食べる仕事なので、朝のお味噌汁の残りと、昨晩のおかずのちょっと残りか、主人のお弁当の卵焼きの残りでもあれば、あとはぬか漬けで、とっても体の喜ぶお昼ご飯になりそうです。
ぬか床を初めてこねてみたあとの手は、確かにしっとり、どんなハンドクリームよりしっとりでしたよ。
何度も失敗するでしょうが、これから何年もかけて、私はぬか漬け美人になれるのでしょうか???
これから今日は、
kukka+さんの本店のほうで、一輪だけのお花でも買ってこようかと思います。
お花を活けずにはいられない、そんな気持ちもずっとあるのです。
花瓶に活けるほどはできないけれど、一輪を、とてもかわいく活ける方法を、
dormitory428の
kukka+さんのところで見て、dormitoryの古道具屋さん
Resettaさんで、試験管を買いました。
試験管を使うのですよ!→写真をクリックして大きくしてご覧ください。
それでは、行ってきます。