器の漆つぎ*chiho

1979年生まれ、鹿児島市出身。鹿児島市谷山在住。

【ご挨拶:器の漆つぎ、修行中。】→★(click!)

●修繕完了品の一覧は、こちら→★(click!)からどうぞ!

<連絡先メールアドレス>
urushitsugi☆gmail.com(☆部分を@マークに書き換えて送信ください。)

スポンサーサイト

上記の広告は90日以上記事の更新がないブログに表示されます。新しい記事を書くことで、こちらの広告が消せます。

  

Posted by チェスト at

九谷の八角、有田の六角

2011年07月20日

実家より、偶然預かった2つの器のホツレ。

ひとつは、九谷焼の絵付けの八角形の平皿です。

私はあまりこれでご飯を食べた覚えがないのですが、今見ると、こんな絵付けの皿がちゃんと五客ぞろいで食器棚の中にあったとは!と再発見です。

この絵付け、梅にうぐいす。
花札でも定番ですが、調べると、ちゃんと決まりがあるそうです。

梅は、桜などと区別するために、一本のびた「しの」という枝を描くこと。
花より蕾を多く描くこと。春待ち望む、これから多く咲く春がやってくる季節。
しかも、枝の、花より先の方に蕾を。(←よく見るとそうなってる!)
白梅より紅梅の方が、故事に忠実。

なんともばっちり原則に沿った絵付けです。

問題は、私の写真の撮り方。
あまりに無造作に置いて撮っていて、ちゃんと器の顔が正面を向いているのか、微妙です…。
無粋ですみません。


一か所ホツレがあって、九谷焼の白い磁器の肌が見えています。
このホツレを埋めて、絵付けの雰囲気に自然になじむような仕上げにしたいと思います。





2つ目の預かった皿は、有田焼の六角形の小鉢。

これは、我が家ではタコとキュウリの酢の物の定番の小鉢でした。
何百回、私はこの器でタコとキュウリの酢の物を食べた事か。

裏に幸楽作、とあって、有田焼のようです。

これも有田焼の白い磁器の肌が見えています。
このホツレを同じように埋めて、これはもう内側で目立つ場所になりますので、なにがしか仕上げを考えたいと思います。

今でも同じようにタコの酢の物が盛られていると想像して、さて、絵付けにも少し使われている金がいいか、銀がいいか、いや、弁柄の朱がいいか、はたまた生漆の色が料理に主張しすぎずにいいか。
考えつつの作業になります。


いつでも自家用・家族分は、実験的だったり後回しだったりしてしまいますが、それでも毎回割れたり欠けたりしては、待たされても待たされても、私に器を預けてくれる、私と主人の実家両家に、この場をかりて感謝します。

六角に八角。
角・角・しかじか、な、器のお話でした。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 17:41
Comments(0)磁器

栗原はるみさんの白い平皿のホツレ

2011年07月08日

結婚記念に頂いた、栗原はるみさんの白い取り皿5枚セットの1枚がホツレてしまいました。



このお皿は、実は5枚それぞれ同じサイズながら微妙に花の模様などが違って、ケーキ皿にもなれば、お客様用の取り皿にもなるし、とっても重宝しているのです。

割れた時にはかけらがあったのですが、紛失・・・。

なので、少々時間がかかりますが、お預かりしている他の器で破片がなくて埋めたいもののついでに、天然素材で埋めて、作業したいと思います。
そのために多めの漆が必要なので、天候と休みが会う時をねらって、また漆の調整にいそしみます。

この洋風の白い磁器には、金はもちろん、案外茶色の漆そのままの色が逆におしゃれになったりします。
自家用ですので、極力漆だけの仕上げにしようかなぁなどと思っています。

やっぱり日ごろづかいの器こそ、割れたり欠けたりしやすくて、でもずっと使いたいものですね。
修繕してこれからも大切に使わせていただきたいと思っています。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 11:31
Comments(0)磁器

白い楕円平皿のワレ

2011年07月07日

島原の同い年の女性より、白い楕円の大きな平皿をお預かりしました。

3つの急須をお返しに行った自然豊かなカフェで、預かって頂いていました。



上品な洋風の白を大事にするために、漆に天然素材を練りこんで接着します。
その漆は、通常よりずいぶん硬化に時間がかかりますが、白系の磁器など、黒いと透けて見えるような器には、その工夫がやはり必要です。
練りこむだけの量の漆はやっぱり次回、自分で精製して量を確保してからになりそうですが、割れ方はスパっとしているので、スムーズに接着できることを期待しています。

白といっても微妙なベージュの肌。
接着できた線を見てからになりますが、できたら金などで美しい仕上げの線が描けたらなと思っています。
そのための漆も、やっぱり自分で精製して、さらにそれを加工したものが必要。
仕事の休みと、お天気の晴れ、どうか重なってくれますように!


そんなもどかしい中でも、やっぱり器をお返しできた時の、ご依頼主様の笑顔を拝見できることが一番の励みになります。

3つの急須は、もとの地の色が漆が目立たなかったので、ほとんど修繕跡がなくお渡しできたのですが、どうやらその急須、作家さんがもう作っていらっしゃらないので、同じ味のものが手に入らないそうなのです。
でも、とても気にいっていたので、再び使える事が本当にうれしい、と、心から喜んで頂いて、こちらは本当にお時間を長く頂いてしまったのに、とても元気をもらいました。
お代を頂く以上のお土産などなど頂きつつ、みなさんから力の源をもらって作業できているんだなぁと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
本当にありがたい事です。

天気にくわえて、実は仕事の休みが減ったりして、なかなか思うように作業が進まず、申し訳ない気持ちがいっぱいなのです。
それでも気長に待っていてくださる、お預けいただいている皆様、修行中の仕上げでも笑顔で受け取ってくださる皆様、本当にありがとうございます。
元気を出して頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。


今回ご依頼主のRyeちゃん、YOGI Tea飲んでがんばるよ。
ありがとう。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 07:44
Comments(0)磁器

BLUT'Sの蓋付きカップ

2011年05月19日

2週間ほど前にお預かりして、ご紹介が遅れました。
このブログをご覧になった方よりご連絡いただきまして、蓋付きの磁器のカップのホツレをお預かりしました。



模様のかわいい蓋付きのカップです。
herbest garden と裏にあるように、蓋付きだとハーブティーや紅茶をいれるのに、とても便利そうです。



口の部分が深めにホツレています。

1992年のものということで、20年近く前のものになりますが、まだまだ修繕したら元気に活躍してくれそうなカップです。

多治見のBLUT'Sという陶器会社のもので、今でもたくさんのカワイイ器を販売しているようです。
●BLUT'Sさんのウェブショップ→器の店Furari



今、深めのホツレを手際よく埋めるための方法を学びつつあり、それを学ぶための時間が逆にちょっとかかっている状態です。
この山を越えれば、だいぶ守備範囲というか、対応方法が広がるので、ここは頑張りどころ。

先日も、早朝から4時間かけて、まだ木くずの残る漆をひたすら混ぜて精製する工程の中の、ある一段階を踏んだところでした。

4時間~!?と、思ってしまうのですが、不思議なもので、いったんその作業に入ってしまうと、少しずつ変わる漆の状態に魅せられて、右肩がパンパンにはれながらも、やってしまうものです。

現代は秒単位の暮らし。
4時間かけると、家事の中でのたいがいの手間なんて、手間ではないなぁ、と、感覚が変わるので不思議です。
仕事などに行くと、すぐにあわただしい日常に戻ってしまうのですが・・・。

昔の生活のリズムを思う4時間でした。


丁寧に仕上げますので、ぜひとも少しお時間を頂きたく存じます。

もうお渡しできる器がいくつか出てきていますので、日程を調整しつつ、またご紹介させていただきます。
お待ちいただいている皆様のおかげで、一歩ずつ修繕の階段を踏ませていただいています。
ほんとうに感謝しています。

感謝の気持ちを、いい仕上げにかえさせて頂きたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 18:36
Comments(0)磁器

studio m の白い磁器2つ、出西焼カップ

2011年05月01日

いつもお世話になっていますnico cafe様より、器をお預かりしました。
以前、出西焼のコーヒーカップをお預かりして、気に入っていただいての、二度目ということで、ありがたい気持ちでいっぱいです!

ひとつは、同じ出西焼の青いカップ。
別のものですが、前より小さなホツレがあります。


今回は仕上げを変えてみたいかも、というご希望なので、また仕上げの頃、ご相談に伺います。


あと、白くてかわいいstudio mの2点の器をお預かりしました。

まさに今、珍しいエレモフィラ・ニベアが咲いている、旬なnico cafe
春の陽気と、この白い器はとても合います。
(2011GW期間中は、お休みのようです。詳しくはnico cafe通信をご覧ください。)

一つは、取っ手のところが取れただけのもの。



もうひとつは、ちょうど私が来店しているときに、割れたもの。
結構破片数が多いので、最初は遠慮されていたのですが、私の経験のためにぜひ、と、わざわざ破片を集めて頂きました。



これをどう仕上げるか。
さすがに漆だけの線がこんなにたくさん入るのはどうかと思うので、継ぎ目を金などのきれいな線に仕上げる経験を積ませていただきたいと思います。
割れ目がまるで金色の模様みたいになるように。

いつもいつも、器を預けてくださる方々には、ありがたい気持ちでいっぱいです。


ただいま、ふだんの作業にプラスして、もう一段階上の作業ができるようになるために、揃える道具や材料や知識を、どれが一体必要なのか、絞る作業からしています。
漆芸の本や、ネットや、いろんなものをそれこそ雲をつかむように、ではありますが、少しずつ手繰り寄せながら、このプロセスは決して無駄じゃない、と信じてやっています。

この道は長い。けど、楽しい。
がんばりますので、これからもどうぞよろしくお願いします。


修繕が終わってお返しできる器を、順次、またご紹介していきます。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 16:09
Comments(0)磁器

伊万里のお手塩

2011年03月21日

東京の方より、伊万里のお手塩をお預かりしました。


お手塩(おてしょ)とは、直径10センチ未満ぐらいの、小皿のことです。
いいものを手にとって味わう、使うのに、とてもいいサイズです。


今回、お預かりして、私も伊万里の絵付けのことを少しだけ勉強することができました。
お預けくださる方のほうが、思い入れがあって購入されているので、大抵の場合、私は初めてその種類の器を手にとって、勉強させていただくパターンばかりで、ほんとうにありがたいことです。


ふちの部分に大き目のホツレがあります。
まずは漆で丁寧に埋めて、仕上げを考えたいと思います。
とてもきれいな絵付けですので、こちらもきれいに金を蒔くか、むしろ漆の艶だけでいくか、悩みどころです。
今、1度目の作業を終えて、次回を待っている状態です。


私も、小皿好きでして・・・。
きちんとした何焼き、というでもなく、雑貨屋で見つけたベトナムのバッチャン焼きの贋物でも、絵柄が素朴でかわいくて、とか、画材屋さんでは、日本画の画材用品として売られている既製品の白い磁器皿の微妙なサイズ違いがいくつも欲しくなったり。
また、とても気にいった器屋さんだけど、予算が・・・というときには、風合いをそのまま感じられる豆皿や、小皿を買ってしまいます。

お手塩という皿の存在意義は、きっともっと大きなもので、お恥ずかしいですが、私は小皿好きです!と公言します(笑)


春分を迎え、鹿児島ではいよいよ寒さも和らいでくると思われます。
丁寧に仕上げますので、どうぞもうしばらくお待ちください。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 20:08
Comments(0)磁器

事務所の急須の蓋のワレ

2011年02月19日

いつもお世話になっています、地球畑谷山店様のスタッフ様より、急須の蓋をお預かりしました。

事務所で使われていた急須の蓋だそうで、パカっと4つに割れてしまったそうです。




朱色の急須で、本体もそういう雰囲気でしたので、生漆のそのままの色で似合うのではないかと思います。

パカっと割れていると、ピタっとハマりやすいので、比較的修繕しやすいのです。
裏に、一部割れた際のホツレがありましたので、そこを埋める作業がプラスで日数がかかるかもしれません。

急須の修繕のご依頼を受ける率が結構高いなと思います。
急須って出っ張ったり形も案外複雑だし、蓋をはずすこともあるので、破損もしやすいのかもしれませんね。
また、それぐらい、お茶を飲む、というのは、みんなが必要としている、生活に欠かせない行為なんだな、と、改めて思います。
「ま、お茶でも飲んで、一服しよう」
そんな声が聞こえる急須。
どんどん経験を積んで、部位によっては強度が必要で難しい修繕になりますが、いろんなものを手際よく修繕できるようになりたいと思います。

朱色の事務所の急須。
また、もとの急須にぴったりおさまって、働くみなさんの憩いのお茶をいれられるように、丁寧に仕上げさせていただきます。

お預けいただき、ありがとうございます!  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 15:01
Comments(0)磁器

studio m のカフェオレボウル

2010年12月20日

いつもお世話になっているnico cafe様より、カフェのランチでも大活躍の、かわいいstudio m のカフェオレボウルをお預かりしました。



洋でありながら、ほっこり両手の中になじむ形は、ご飯にも、かわいい丼ものにも、スープにも、チャイなんかにも、使い勝手がよさそうです♪

一部、浅くて広めのホツレがあります。(写真でいうと右側のふちに)
少しお時間をいただいて、漆で埋めていくことになります。


今回のこのstudio mさんのサイトより、この器が、「半磁器」と分類されていることを知りました。
そこから特徴が読みとれて、修繕の方法や加減のヒントを得られます。

いつも器をお預かりするときは、その器の産地やメーカーや特徴などを下調べしています。
器の知識が浅い私には、毎回勉強になることばかり。

ナチュラルでカワイイ洋食器なので、そのテイストを大事に仕上げられたらと思っています。
お預けいただき、ありがとうございます!  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 18:48
Comments(0)磁器

花模様のカップのヒビ

2010年12月20日

いつもお世話になっているnico cafe様のところでに、このブログのフライヤーを見て、補修する器を預けてくださいました。

とてもかわいい花模様のカップです。


梱包のラッピングペーパーまでとてもカワイイです!


ヒビは、こんな感じ。


このタイプは、わりと早く仕上げることができると思います。
ただいま、ヒビに今入り込んでいる黒い部分を洗浄中です。
洗浄が終わったら、修繕作業に入ります。
ヒビ部分を天然の漆で埋めます。

よく、漆で修繕した器は、結局、もう食器としては使えなくて、花瓶や飾りにしかならないんじゃないの?と思われがちですが、違うんです!
漆のお椀で食事をするのと同じように、でも、コテコテ塗りのピカピカお正月漆器みたいではなく、もとの器と同じように、日ごろづかいで使っていただけます。
たとえば、直接火にかけたり、湯煎したり、やすりで擦ったりさえしなければ、普通に食器として、お茶を飲んだり、ご飯をたべることができます!
ヒビだけじゃなくて、カケたものも、ワレたものをつけたものも。
ちゃんと硬化した後は、赤ちゃんにも安全な素材になりますので、ぜひまた食器として使っていただきたいと思って修繕しています。

このかわいいお花の器も、ぜひまた日ごろづかいに戻していただけたらうれしいです♪

もしタイミングがあえば、nico cafeにて直接お返しできたらうれしいです。
器をお預けいただいて、ありがとうございます!
また、快く器を保管していただいているnico cafe様、いつもありがとうございます!
感謝の気持ちで、丁寧に仕上げますので、お待ちくださいませ。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 18:47
Comments(0)磁器

30年前の瀬戸のカップソーサー

2010年12月04日

今度は主人の実家より、30年以上前、主人の両親が結婚記念にもらったコーヒーカップのソーサーをお預かりしました。


もう30年、十分お役目は果たしたんだけどね、と、主人の母談。
でも、ミルクピッチャーのときのように、白い磁器の肌に、生漆の茶色は、結構映えて、よくなりそうだと思います。
記念品、ということで、これもまた金を蒔けば、上品になりそうですね。
金も実は、食器に使って安全なものには2種類の色みがあって、どちらがあうかも、試してみたいところです。


裏には、「セーエー陶器」とあって、調べて見ると、瀬戸に今でもある器屋さんなんですね。
ボーンチャイナの白色がきれいです。


薄くて固い磁器なので、比較的スムースに仕上げることができたらなと思っています。

  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 23:06
Comments(0)磁器

デンマークの器、作業中

2010年11月20日

以前お預かりした、デンマークの器の作業が続いています。


お預かりしたときは、ぱかっと割れた状態でしたが、今は、ワレの部分の接着がひと段落、あとは破片を埋めたり、大きな欠けに挑戦しようかというところです。

今日は、こんな状態。(ウラからの写真ですみません)

気候にあわせて、時間をかけて硬化させていて、お時間をいただいていますが、ワレ自体は、順調に硬化しているようで、もうパカッという状態は脱しました。

所有者様が、できるだけ破片を集めていてくださったことに、感謝する今日の作業でした。

このまるい部分、数ミリの破片ですが、これがあったおかげで、底の欠けが、ずいぶん埋めやすくなりました。
底って、強度が必要なのです。

この調子で、ちょっとずつ。
まだ本漆の茶色ですが、仕上がりを見ながら、金継ぎも考えています。
まだまだ作業は続きますが、地道に続けていますので、どうぞもうしばらくお待ちください。
  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 12:55
Comments(8)磁器

デンマークの器のワレ、カケ

2010年10月29日

大切なデンマークの器をお預かりしました。
なかなか器の修理をしているところがなくて、困っていらっしゃったそうです。
私でよければ最大限に丁寧にさせていただきます、という約束で、お預かりさせていただきました。
思い入れのある器には、ほんとうにいい形でよみがえってほしい、と、祈るような気持ちです。

いろいろと調べていると、デンマークの焼き物といえば、ロイヤルコペンハーゲンに代表される、青の美しさが特徴の磁器だということが分かりました。
もともと有田焼に影響を受けたとか。

今回お預かりしたのは、両手に納まる小鉢サイズの、はっと目をひくデザインの器です。
仮止めしてみると、全体はこのような感じです。



不思議な模様が美しい、おもしろい器です。

 

これが、左のようにぱっかりと割れて、一部大きなカケができています。
破片は一部しかありませんが、ありがたいことに、ほんとに細かいものも保存しておいていただけたので、できるだけ生かして継ぎたいと思っています。
破片の足りない部分は、紙や木で骨というか肉を作って、その上に漆で、漆器のような加工をします。
これは洋食器だし、とてもモダンなデザインなので、和食器とはまた違って、金継ぎの楽しみがあります。
割れ方の曲線と、二つの楕円の曲線の位置も、なかなかオツです。

右写真は、ひっくり返した底です。
骨董や焼き物に詳しくないのでわかりませんが、ロイヤルコペンハーゲンなどが使用しているような、波状の模様と、作者が入れたナンバーなどが入っています。

カケが大きいのと、季節もあって、少し時間がかかるかもしれませんが、お約束通り、丁寧に仕上げます。

まずは第一回目の、ワレの生漆の接着処理をしました。
ワレの処理だけでもあと最低3回ほど、その乾燥期間も温度が下がった分時間がかかり、そのあとで、ホツレをうめたり、破片のないカケをうめていきます。

手におさまったときのつるっとした肌触りを感じながら、大事に作業させていただきます。

和食器だけでなくて、違ったテイストのものを修繕させていただくのは、とても勉強になるし、私も仕上げが楽しみです。
私に修繕させてくださったご厚意に感謝します。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 23:43
Comments(0)磁器

厚手青磁の飯椀のワレ~漆のち?

2010年09月30日

陶芸作家さんである、友達のお父様の作品ですが、割れてしまいました・・・。

漆つぎを知るずいぶん前に割れてしまったものの、捨てるのはもったいなく、とっておいたのが、幸い。

これは破片3つ+極小破片+本体+ホツレいくつか、という割れ方をしているので、破片をつないで部品を作ったりしながら、ホツレを埋めつつ、並行してすすめます。
今日は、部品づくり2回目。
前回、4~5日前にトライした部品は、仮止めがよくなかったようで、うまくつながりませんでした。
今回は、漆を入れる部位をかなり限定して、長期戦を覚悟しました。

これはまた、もとからのニュウがとてもきれいな青磁だけに、捲きで上品に仕上げたい一品です。
ありがちな金でも、クールな色の金かなぁと思ったり。
きれいな青磁の色にあわせて、仕上げもマットでなく軽く磨きをかけてみるのがいいかな、それは仕上がりを見て考えようと思ってます。

ここで考えるのが、「飯椀」ということです。
器には、当然用途があり。
飯椀に盛られたご飯がおいしく見えなきゃ意味がありません。
きっと陶芸作家さんたちは、そこを考えてフォルムや色や手触りや作っていると思うので、そこに手を加える修繕をする以上、なんだか責任を感じるし、そこまで視野に入れてつくろいたいのです。
口にして安心な素材だけを使って、もともとの意匠を損なわない新しい意匠を加える。
結構難しいものですが、考えがいがあります。

2人揃いでいただいたこの器、夫と揃いで使うようになり、割れてからは、割れていないほうも食器棚の奥にしまってあり・・・。
うまく継げたら、無傷と継ぎもの、また新しい2つの器が増えるような再会になりそうで、楽しみです♪  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 18:33
Comments(0)磁器

白い磁器のミルクポットのヒビ~生漆

2010年09月27日

彼岸花があちこちできれいですね♪

さて、お預かりした、とてもかわいい白磁のミルクポット。

ヒビがはいっていて、水漏れするとのこと。
お預かりした時は、こんな状態でした。
 










白い磁器には、漆そのままの茶色がよくあいます。
さっそく、下処理をして、今日の第1回目の作業は、終了。



これを4~5日、乾燥させます。

・・・といっても、本漆の乾燥っておもしろくて、「湿度がないと」乾燥しないのです!!!
しかも、この作業をあと少なくとも3回、毎回4~5日の乾燥を経て、やっと完成。
そして水などを入れる実用にたえるには、もうしばらく乾燥させて、落ち着かせてから。

とーーっても気長な作業ですが、時間をいつくしみつつ。
入ったヒビが、逆にいいアクセント、模様としていきて、また使っていただけたら、とてもうれしいのです♪
扱いながら、私もどんどん愛着がわいてきます。

秋風の吹く、さわやかな朝のひと仕事でした。
 
作業の後の、カボチャのスープと、黒ゴマのパンが、とってもおいしかったですよ♪

まだまだ試行錯誤の中ですが、ひとつひとつの器を大事に仕上げていきたいです。  


Posted by 器の漆つぎ*chiho at 10:40
Comments(0)磁器