器の漆つぎ*chiho 1979年生まれ、鹿児島市出身。鹿児島市谷山在住。 【ご挨拶:器の漆つぎ、修行中。】→★(click!) ●修繕完了品の一覧は、こちら→★(click!)からどうぞ! <連絡先メールアドレス>urushitsugi☆gmail.com(☆部分を@マークに書き換えて送信ください。) |
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小雨の朝
2010年09月30日
9月最終日は、小雨の朝でした。
明るい雲から漏れるようにぽとぽとと降る感じ。
ちょっと前の蒸すような夏の雨とはすっかり変わりましたね。
空高くに、2羽のトンビの声がこだましていました。
そんな朝、ちょっと早く起きて、作業しました。
雨の日は、漆の乾燥がどんどん進みます。
不思議です、漆って。
湿度を与えると、乾燥するんです。
だから、作業中も、いつもよりぐっと、漆の粘度があがって、色もすぐ濃くなりやすいのです。
その中で、今日は、ひと工夫加えた漆で作業したのですが、それでもなかなか苦労したのは、気候の問題もあったかもしれません。
今日の作業
1.小鉢のヒビ~漆のち?
2.出西焼コーヒーカップのホツレ~漆のち?
3.厚手青磁の飯椀のワレ~漆のち?
4.白い磁器のミルクポット、ほぼ埋まったヒビに残っていたかすかなホツレを埋めました。これを2~3週間乾燥させると、ほぼ完成のはずです。

あっという間の午前の3時間。
夫が起きてきたので、去年の庭のバジルペースト半分、ベニバナマーガリン半分のパンに、ハーブティーを飲みました。
湿度があったので、パンも気持ちしっとりよりにトーストされて(?)、カリっというより、ほわっとバジルペーストの香りがたって、よかったです。
ハーブティーはあったかくて、後口のやさしいミントと甘さに、ほーっとします。
ピザトーストにはちょっとテンションが足りない、トリップホップな陰鬱さよりはちょっと軽めの、秋の小雨の朝でした。
漆つぎをするようになってから、パンにバジルペーストを塗る手際も、ハーブティーをいれる時間も、休日の朝が全体的にスローになった感じがします。
ちょっと物を大事にする気持ちも増しつつ。
これで、うっかりパリーンが、減ってしまうかもしれません。→漆つぎの素材が減る???
明るい雲から漏れるようにぽとぽとと降る感じ。
ちょっと前の蒸すような夏の雨とはすっかり変わりましたね。
空高くに、2羽のトンビの声がこだましていました。
そんな朝、ちょっと早く起きて、作業しました。
雨の日は、漆の乾燥がどんどん進みます。
不思議です、漆って。
湿度を与えると、乾燥するんです。
だから、作業中も、いつもよりぐっと、漆の粘度があがって、色もすぐ濃くなりやすいのです。
その中で、今日は、ひと工夫加えた漆で作業したのですが、それでもなかなか苦労したのは、気候の問題もあったかもしれません。
今日の作業
1.小鉢のヒビ~漆のち?
2.出西焼コーヒーカップのホツレ~漆のち?
3.厚手青磁の飯椀のワレ~漆のち?
4.白い磁器のミルクポット、ほぼ埋まったヒビに残っていたかすかなホツレを埋めました。これを2~3週間乾燥させると、ほぼ完成のはずです。
あっという間の午前の3時間。
夫が起きてきたので、去年の庭のバジルペースト半分、ベニバナマーガリン半分のパンに、ハーブティーを飲みました。
湿度があったので、パンも気持ちしっとりよりにトーストされて(?)、カリっというより、ほわっとバジルペーストの香りがたって、よかったです。
ハーブティーはあったかくて、後口のやさしいミントと甘さに、ほーっとします。
ピザトーストにはちょっとテンションが足りない、トリップホップな陰鬱さよりはちょっと軽めの、秋の小雨の朝でした。
漆つぎをするようになってから、パンにバジルペーストを塗る手際も、ハーブティーをいれる時間も、休日の朝が全体的にスローになった感じがします。
ちょっと物を大事にする気持ちも増しつつ。
これで、うっかりパリーンが、減ってしまうかもしれません。→漆つぎの素材が減る???
厚手青磁の飯椀のワレ~漆のち?
2010年09月30日
陶芸作家さんである、友達のお父様の作品ですが、割れてしまいました・・・。

漆つぎを知るずいぶん前に割れてしまったものの、捨てるのはもったいなく、とっておいたのが、幸い。
これは破片3つ+極小破片+本体+ホツレいくつか、という割れ方をしているので、破片をつないで部品を作ったりしながら、ホツレを埋めつつ、並行してすすめます。
今日は、部品づくり2回目。
前回、4~5日前にトライした部品は、仮止めがよくなかったようで、うまくつながりませんでした。
今回は、漆を入れる部位をかなり限定して、長期戦を覚悟しました。
これはまた、もとからのニュウがとてもきれいな青磁だけに、捲きで上品に仕上げたい一品です。
ありがちな金でも、クールな色の金かなぁと思ったり。
きれいな青磁の色にあわせて、仕上げもマットでなく軽く磨きをかけてみるのがいいかな、それは仕上がりを見て考えようと思ってます。
ここで考えるのが、「飯椀」ということです。
器には、当然用途があり。
飯椀に盛られたご飯がおいしく見えなきゃ意味がありません。
きっと陶芸作家さんたちは、そこを考えてフォルムや色や手触りや作っていると思うので、そこに手を加える修繕をする以上、なんだか責任を感じるし、そこまで視野に入れてつくろいたいのです。
口にして安心な素材だけを使って、もともとの意匠を損なわない新しい意匠を加える。
結構難しいものですが、考えがいがあります。
2人揃いでいただいたこの器、夫と揃いで使うようになり、割れてからは、割れていないほうも食器棚の奥にしまってあり・・・。
うまく継げたら、無傷と継ぎもの、また新しい2つの器が増えるような再会になりそうで、楽しみです♪

漆つぎを知るずいぶん前に割れてしまったものの、捨てるのはもったいなく、とっておいたのが、幸い。
これは破片3つ+極小破片+本体+ホツレいくつか、という割れ方をしているので、破片をつないで部品を作ったりしながら、ホツレを埋めつつ、並行してすすめます。
今日は、部品づくり2回目。
前回、4~5日前にトライした部品は、仮止めがよくなかったようで、うまくつながりませんでした。
今回は、漆を入れる部位をかなり限定して、長期戦を覚悟しました。
これはまた、もとからのニュウがとてもきれいな青磁だけに、捲きで上品に仕上げたい一品です。
ありがちな金でも、クールな色の金かなぁと思ったり。
きれいな青磁の色にあわせて、仕上げもマットでなく軽く磨きをかけてみるのがいいかな、それは仕上がりを見て考えようと思ってます。
ここで考えるのが、「飯椀」ということです。
器には、当然用途があり。
飯椀に盛られたご飯がおいしく見えなきゃ意味がありません。
きっと陶芸作家さんたちは、そこを考えてフォルムや色や手触りや作っていると思うので、そこに手を加える修繕をする以上、なんだか責任を感じるし、そこまで視野に入れてつくろいたいのです。
口にして安心な素材だけを使って、もともとの意匠を損なわない新しい意匠を加える。
結構難しいものですが、考えがいがあります。
2人揃いでいただいたこの器、夫と揃いで使うようになり、割れてからは、割れていないほうも食器棚の奥にしまってあり・・・。
うまく継げたら、無傷と継ぎもの、また新しい2つの器が増えるような再会になりそうで、楽しみです♪
出西焼コーヒーカップのホツレ~漆のち?
2010年09月30日
これも、お預かりした一品。
出西焼の、コーヒーカップです。
出西焼独特の青色と、コロンと丸いフォルムがかわいくて、これにおいしいコーヒーが入って出てくるお店のものです。(写真右半分白トビですが、焼き物の色を感じていただきたく・・・)

これに、ホツレがあります。

とても気長な話なのですが、このホツレを、少しずつ少しずつ、埋めていきます。
5日ほど前に、一度目の漆を塗り、今日が二度目です。

一回目漆塗り

二回目漆塗り
まだまだ先が長いのですが、仕上げをどうするか、悩んでいます。
出西焼の青に、生漆色なのか、金や銀を捲くのか。
銀→黒は固すぎるか、温度の低い感じの質感の金はなじまないのか、案外いけるのか、あったか系の金が無難なのか、そうなっていくと、生漆そのままではダメなのか、薄く塗り重ねながら、眺めながら手に取りながら、考えるのも、修繕の楽しさです。
出西焼の、コーヒーカップです。
出西焼独特の青色と、コロンと丸いフォルムがかわいくて、これにおいしいコーヒーが入って出てくるお店のものです。(写真右半分白トビですが、焼き物の色を感じていただきたく・・・)

これに、ホツレがあります。

とても気長な話なのですが、このホツレを、少しずつ少しずつ、埋めていきます。
5日ほど前に、一度目の漆を塗り、今日が二度目です。

一回目漆塗り
二回目漆塗り
まだまだ先が長いのですが、仕上げをどうするか、悩んでいます。
出西焼の青に、生漆色なのか、金や銀を捲くのか。
銀→黒は固すぎるか、温度の低い感じの質感の金はなじまないのか、案外いけるのか、あったか系の金が無難なのか、そうなっていくと、生漆そのままではダメなのか、薄く塗り重ねながら、眺めながら手に取りながら、考えるのも、修繕の楽しさです。
小鉢のヒビ~生漆
2010年09月30日
どこの家にもよくあるような、昭和~な小鉢です。
実家からもってきた食器のひとつです。
今は、食卓に、より、調理中に、使うことが多いです。
小さなボウルがわりとして、おたま受けとして、小分け冷蔵の器として、何気に大活躍。
いくつもあるし。
一昨日、よーく見てみると、ヒビを見つけました。


沖縄の飯椀みたいに、近々スパーンといきそうな、ヒビです。
この小鉢、もっと味のあるものに買い替え・・・という考えはおいといて、私の日常づかいになじんだ大事な仲間として、ひとまずヒビに補強の意味で漆繕いすることに。
なるほど、まだ水も漏らない細いヒビには、漆にひと工夫が必要な様。
工夫をほどこしても、裏までしみず、結局は、表面、裏面からの軽い補強程度になりそうです。
作業に使用した和紙も、また大切な材料になるので、大切に乾燥させます。
繊維の強さが、ほんとにすばらしい手すきの和紙、ありがたいです。
実家からもってきた食器のひとつです。
今は、食卓に、より、調理中に、使うことが多いです。
小さなボウルがわりとして、おたま受けとして、小分け冷蔵の器として、何気に大活躍。
いくつもあるし。
一昨日、よーく見てみると、ヒビを見つけました。

沖縄の飯椀みたいに、近々スパーンといきそうな、ヒビです。
この小鉢、もっと味のあるものに買い替え・・・という考えはおいといて、私の日常づかいになじんだ大事な仲間として、ひとまずヒビに補強の意味で漆繕いすることに。
なるほど、まだ水も漏らない細いヒビには、漆にひと工夫が必要な様。
工夫をほどこしても、裏までしみず、結局は、表面、裏面からの軽い補強程度になりそうです。
作業に使用した和紙も、また大切な材料になるので、大切に乾燥させます。
繊維の強さが、ほんとにすばらしい手すきの和紙、ありがたいです。
沖縄の陶器の飯椀のワレ~本漆のち金継ぎ(?)
2010年09月29日
今回は、スパンと2つに割れた飯椀です。



沖縄の、ほっこりとのびのびした飯椀です。
厚手の陶器で、釉薬のない断面が、非常に水を吸いやすいのが見てよくわかります。

私のできる最大限の丁寧さで、触感を使って段差をなくし、そこに本漆で処理をして、第1日目、終了です。
水を吸いやすいこの陶器は、素朴な茶色をしているので、漆色が染みることは気にせず、いつものように、やってみました。

えっ?!もうできたんじゃ・・・?
いえいえ、まだ仮止め。パカっと外れます。
これを、湿度を保った簡易のムロにて、まずは4~5日、1回目の乾燥。
あとこれを少なくとも3回、仮止め部分も同じく。
もとの器の色が暗めなので、最後の仕上げに、金など捲いて、金継ぎにすると、映えるかもしれません。
素朴さになじまない上品すぎる金もどうかと思うし、クールな銀(のちに黒に変色)も、どうかと、難しいところですが、金や銀を買う時に、現品を持って行って、色をイメージできたらと思います。
もとからのほっこりした模様の雰囲気も大事にしたいところです。
あと1~2カ月作業が続きます。



沖縄の、ほっこりとのびのびした飯椀です。
厚手の陶器で、釉薬のない断面が、非常に水を吸いやすいのが見てよくわかります。

私のできる最大限の丁寧さで、触感を使って段差をなくし、そこに本漆で処理をして、第1日目、終了です。
水を吸いやすいこの陶器は、素朴な茶色をしているので、漆色が染みることは気にせず、いつものように、やってみました。

えっ?!もうできたんじゃ・・・?
いえいえ、まだ仮止め。パカっと外れます。
これを、湿度を保った簡易のムロにて、まずは4~5日、1回目の乾燥。
あとこれを少なくとも3回、仮止め部分も同じく。
もとの器の色が暗めなので、最後の仕上げに、金など捲いて、金継ぎにすると、映えるかもしれません。
素朴さになじまない上品すぎる金もどうかと思うし、クールな銀(のちに黒に変色)も、どうかと、難しいところですが、金や銀を買う時に、現品を持って行って、色をイメージできたらと思います。
もとからのほっこりした模様の雰囲気も大事にしたいところです。
あと1~2カ月作業が続きます。
白い磁器のミルクポットのヒビ~生漆
2010年09月27日
彼岸花があちこちできれいですね♪
さて、お預かりした、とてもかわいい白磁のミルクポット。
ヒビがはいっていて、水漏れするとのこと。
お預かりした時は、こんな状態でした。

白い磁器には、漆そのままの茶色がよくあいます。
さっそく、下処理をして、今日の第1回目の作業は、終了。

これを4~5日、乾燥させます。
・・・といっても、本漆の乾燥っておもしろくて、「湿度がないと」乾燥しないのです!!!
しかも、この作業をあと少なくとも3回、毎回4~5日の乾燥を経て、やっと完成。
そして水などを入れる実用にたえるには、もうしばらく乾燥させて、落ち着かせてから。
とーーっても気長な作業ですが、時間をいつくしみつつ。
入ったヒビが、逆にいいアクセント、模様としていきて、また使っていただけたら、とてもうれしいのです♪
扱いながら、私もどんどん愛着がわいてきます。
秋風の吹く、さわやかな朝のひと仕事でした。
作業の後の、カボチャのスープと、黒ゴマのパンが、とってもおいしかったですよ♪
まだまだ試行錯誤の中ですが、ひとつひとつの器を大事に仕上げていきたいです。
さて、お預かりした、とてもかわいい白磁のミルクポット。
ヒビがはいっていて、水漏れするとのこと。
お預かりした時は、こんな状態でした。

白い磁器には、漆そのままの茶色がよくあいます。
さっそく、下処理をして、今日の第1回目の作業は、終了。

これを4~5日、乾燥させます。
・・・といっても、本漆の乾燥っておもしろくて、「湿度がないと」乾燥しないのです!!!
しかも、この作業をあと少なくとも3回、毎回4~5日の乾燥を経て、やっと完成。
そして水などを入れる実用にたえるには、もうしばらく乾燥させて、落ち着かせてから。
とーーっても気長な作業ですが、時間をいつくしみつつ。
入ったヒビが、逆にいいアクセント、模様としていきて、また使っていただけたら、とてもうれしいのです♪
扱いながら、私もどんどん愛着がわいてきます。
秋風の吹く、さわやかな朝のひと仕事でした。
作業の後の、カボチャのスープと、黒ゴマのパンが、とってもおいしかったですよ♪
まだまだ試行錯誤の中ですが、ひとつひとつの器を大事に仕上げていきたいです。
ご挨拶:器の漆つぎ、修行中。
2010年09月26日
日ごろづかいの、大好きな器。
値段は高くないけど、お気入りの器。
割れたり欠けたりしてしまっても、日本には、漆で陶磁器を継ぐ伝統的な漆継ぎという方法があります。
私は、日本産の本漆を使用します。
少なくなったうるし職人さんが山に入る夏だけにとれる、ほんとに限られた量の中から、分けていただいています。
ほかの材料や道具、漆の上に装飾する際の金銀なども、できる限り天然素材を使用して、器となってから、食器として使用しても、安心なものだけを使用します。
生漆だけの茶色の仕上がりもいいし、最後に金や銀やいぶし銀などを使う伝統的な金継ぎという方法で、ポイントをつけることもできます。
でも、日ごろづかいの器だったら、気取らず、そのまま、本漆の深い茶色も、いいのではないかと思います。
継ぎの跡がまた一味加わって、まるで、リメイクしたくたくたのシャツや、好きな布で繕ったブランケットや、今までよりもっと愛せる、普段着のような。
かけらがなくても、人工パテを使わない自然素材、一般的に木片や和紙などの上に漆を使う補強によって、修復ができます。
私の技術の向上によっては、ほんとに粉々な状態からも修復できるようになるかもしれません。
また、木の器やカトラリー、ガラス器なども、漆継ぎの範疇にあるようです。
研究してみたいものです。
日本の気候の偶然や、何千年にもわたって職人さんの伝統が守ってきた、貴重な天然素材。
そして今でも、日々、人が出会いを繰り返し、いつしかその人にとって暮らしの一部となり、肌にしっくりくるようになる、器。
自然と人々とつながれることに、感謝しながら、日々、地道な作業を楽しみながら、修行中です。
本漆の乾燥には、最低でも1か月以上、通常2~3か月かかります。
本漆によって継がれた器は、食洗機、煮沸、直火などの使用ができません。
時間や値段の関係で、口にしない器だから、漆じゃなくてもいいんだけど・・・と、修理をあきらめているものなどありましたら、漆継ぎの工夫をいかして、合成接着剤など利用して、修繕のお手伝いをさせていただいて、修行させていただくことも考えています。
大切なのは、日ごろづかいで生活の一部になっている器が、また手元に戻ってくること。
それが自分の納得するだけのコストと、安全性と、自然への犠牲のバランスであるということ。
私は、現在、修行中の身であり、しばらくは、修行中ということを了承のうえで、修繕したい器をお預かりさせていただいています。
技術、経験を積む中で、ご協力いただける方がいらっしゃいましたら、コメントおよびメッセージをお送りください。
また、私の浅い陶磁器や金継ぎについての知識に、ご教示いただけるコメントおよびメッセージも歓迎しております。
どうぞよろしくお願いいたします。
値段は高くないけど、お気入りの器。
割れたり欠けたりしてしまっても、日本には、漆で陶磁器を継ぐ伝統的な漆継ぎという方法があります。
私は、日本産の本漆を使用します。
少なくなったうるし職人さんが山に入る夏だけにとれる、ほんとに限られた量の中から、分けていただいています。
ほかの材料や道具、漆の上に装飾する際の金銀なども、できる限り天然素材を使用して、器となってから、食器として使用しても、安心なものだけを使用します。
生漆だけの茶色の仕上がりもいいし、最後に金や銀やいぶし銀などを使う伝統的な金継ぎという方法で、ポイントをつけることもできます。
でも、日ごろづかいの器だったら、気取らず、そのまま、本漆の深い茶色も、いいのではないかと思います。
継ぎの跡がまた一味加わって、まるで、リメイクしたくたくたのシャツや、好きな布で繕ったブランケットや、今までよりもっと愛せる、普段着のような。
かけらがなくても、人工パテを使わない自然素材、一般的に木片や和紙などの上に漆を使う補強によって、修復ができます。
私の技術の向上によっては、ほんとに粉々な状態からも修復できるようになるかもしれません。
また、木の器やカトラリー、ガラス器なども、漆継ぎの範疇にあるようです。
研究してみたいものです。
日本の気候の偶然や、何千年にもわたって職人さんの伝統が守ってきた、貴重な天然素材。
そして今でも、日々、人が出会いを繰り返し、いつしかその人にとって暮らしの一部となり、肌にしっくりくるようになる、器。
自然と人々とつながれることに、感謝しながら、日々、地道な作業を楽しみながら、修行中です。
本漆の乾燥には、最低でも1か月以上、通常2~3か月かかります。
本漆によって継がれた器は、食洗機、煮沸、直火などの使用ができません。
時間や値段の関係で、口にしない器だから、漆じゃなくてもいいんだけど・・・と、修理をあきらめているものなどありましたら、漆継ぎの工夫をいかして、合成接着剤など利用して、修繕のお手伝いをさせていただいて、修行させていただくことも考えています。
大切なのは、日ごろづかいで生活の一部になっている器が、また手元に戻ってくること。
それが自分の納得するだけのコストと、安全性と、自然への犠牲のバランスであるということ。
私は、現在、修行中の身であり、しばらくは、修行中ということを了承のうえで、修繕したい器をお預かりさせていただいています。
技術、経験を積む中で、ご協力いただける方がいらっしゃいましたら、コメントおよびメッセージをお送りください。
また、私の浅い陶磁器や金継ぎについての知識に、ご教示いただけるコメントおよびメッセージも歓迎しております。
どうぞよろしくお願いいたします。